数量限定の商品を先着順で売ると、在庫は数十秒で消えます。買えたのは「速かった人」であって「長く応援してきた人」ではありません。抽選販売はこの配分をやり直すための方法です。この記事では、Shopify で抽選販売を実現する手順を、手作業でやる場合とアプリを使う場合に分けて説明します。
先着販売をやめる判断はいつ必要か
次のうち2つ以上が当てはまるなら、先着販売はもう機能していません。売り方の問題ではなく、供給が需要に足りていない状態です。
- 発売から数分以内に売り切れ、購入者の顔ぶれが毎回似ている
- 発売直後にフリマアプリへ定価以上で並ぶ
- 「買えなかった」という問い合わせやSNSの投稿が発売のたびに出る
- カートに入れたのに決済まで進めなかった、という報告がある
- アクセス集中でストアが重くなる
抽選販売にすると、購入機会が「速さ」から「応募したかどうか」に変わります。アクセスが発売時刻の一点に集中しなくなるため、ストアの負荷も下がります。
抽選販売に必要な作業を分解する
「抽選する」と一言で言っても、実際に手を動かす作業は次の7つに分かれます。どの方法を選ぶにせよ、この7つは必ず誰かがやることになります。
- 応募を受け付ける(誰が応募したかを記録する)
- 重複応募をまとめる(同一人物の複数応募を1件に寄せる)
- 抽選する(当選者を選ぶ)
- 当選者だけが買える導線を作る(他の人に買われないようにする)
- 支払い期限を設定して案内する
- 期限内に支払われなかった枠を繰り上げる
- 落選者に結果を伝える
運用してみると、いちばん重いのは 3 の「抽選」ではありません。4 の「当選者だけが買える状態を作ること」と、5〜6 の「支払いの催促と繰り上げ」です。ここを手作業でやると、当選者の人数に比例して作業が増えます。
Shopify での実現方法は3通り
| 方法 | 費用 | 向く規模 | つらくなるところ |
|---|---|---|---|
| フォーム+表計算+手作業 | 0円 | 応募 200 件程度まで | 当選者への個別連絡、入金確認、繰り上げがすべて手作業 |
| 会員限定・先行販売アプリで代替 | 月額あり | 在庫に余裕がある場合 | 抽選ではなく「早い者勝ちの範囲を狭める」だけなので、在庫が足りなければ同じ問題が起きる |
| 抽選アプリ | 無料〜月額 | 応募数百〜数万件 | アプリが用意した運用フローに合わせる必要がある |
2 の「会員限定・先行販売」は、ポイントや会員ランクのアプリで既に提供されています。ただしこれは通過させる人を絞る仕組み(ゲート)であって、通過した全員に行き渡らないときに誰へ配るかを決める仕組み(配分)ではありません。100 個の在庫に会員 1,000 人が殺到すれば、結局は先着になります。
手作業でやる場合の手順
最初の1〜2回は手作業で十分です。次の手順で回せます。
- Google フォームなどで応募を受け付ける(メールアドレスを必須にする)
- 回答をスプレッドシートに集め、メールアドレスで重複を除く
- 乱数の列(RAND など)を作って並べ替え、上位から当選者数だけ取る
- 当選者に個別にメールを送る
- 当選者だけが買えるように、非公開商品のリンクか一人1回だけ使える割引コードを発行する
- 支払期限を決めて案内し、期限後に入金を照合する
- 未払い分は次点へ繰り上げ、同じ連絡をやり直す
この方法の限界は、応募数ではなく当選者数で先に来ます。当選 50 名なら、連絡・入金確認・繰り上げで 100 通以上のメールを人が扱うことになります。あわせて次の点が起きがちです。
- 同じ人が表記ゆれ(大文字小文字、+付きアドレス)で複数応募し、重複が残る
- 当選者向けのリンクや割引コードが SNS に共有され、当選していない人に買われる
- 支払期限を過ぎた枠の繰り上げが追いつかず、在庫が売れ残る
- 「本当にランダムだったのか」を聞かれたときに、手順を説明できない
抽選アプリを使う場合の流れ
抽選アプリを入れると、上の7つの作業のうち 1〜6 が自動になります。Bonafan の場合は次の流れです。
- 管理画面で、販売する商品バリアント・当選者数・応募締切・支払期限を指定して抽選を作る
- 発行された応募ページの URL を、商品ページや SNS、メールで配る
- 締切を過ぎると自動で抽選が実行される(応募が確定した時点のファン実績スコアを使う)
- 当選者にだけ Shopify の請求書メールが届き、当選者限定のチェックアウトから購入できる
- 支払期限を過ぎた当選は自動で失効し、次点へ繰り上がる
- 結果に応じて顧客タグが付くので、落選者へのお知らせは Shopify の顧客セグメントと Shopify Email でまとめて送れる
当選者限定のチェックアウトは、Shopify のドラフトオーダー(下書き注文)として当選者ごとに発行されます。リンクが共有されても、注文はその当選者のものとして作られているため、別の人が横から買うことはできません。
ストアに顧客としてログイン中のファンは、アプリプロキシ経由の応募ページからワンクリックで応募できます(メール認証なし)。ログインしていない相手にはメールのマジックリンクで本人確認を行います。
抽選の公正さをどう説明するか
抽選販売でいちばん多い問い合わせは「本当にランダムなのか」です。あらかじめ次を決めて、応募ページに書いておくと問い合わせがほぼ止まります。
- 完全にランダムなのか、購入実績などで当たりやすさを変えるのか
- 当たりやすさを変えるなら、何がどのくらい効くのか(例: 定価での購入回数)
- 初めてのお客さまにも当選枠があるのか
- 同じ人が複数回応募したらどう扱うのか
Bonafan は「純粋な抽選枠」と「実績で重み付けした枠」を分けて持ちます。重みの既定値では、実績スコア 20 の顧客は実績 0 の顧客の約 5 倍当たりやすくなりますが、実績 0 でも当選する可能性は残ります。新規のお客さまを閉め出さないための設計です。
どちらを選ぶか
- 当選者が 20 名以下で、抽選が年に数回 → 手作業で十分。まず1回やってみる
- 当選者が 50 名を超える、または月1回以上やる → 連絡と入金確認が本業を圧迫するのでアプリを検討する
- 応募が数千件を超える → 重複応募とアクセス集中の対策が要るのでアプリが前提
- 「誰に届けるか」を購入実績で変えたい → 手作業では実績の集計が現実的でないのでアプリが前提
判断に迷う場合は、次のドロップを 1 回だけ抽選にして、応募数と問い合わせの量を数えるのが確実です。想定より応募が集まれば、手作業の限界は次の回に来ます。
- 抽選販売の設計ガイド — 当選者数・応募期間・支払期限の決め方
- EC の転売対策の手段比較 — 購入数制限・会員限定・抽選・不正検知の使い分け
- Bonafan の使い方ガイド — 導入から初回の抽選まで
Bonafan は Shopify 向けの抽選販売アプリです。ベータ期間中は無料で、抽選を1つ作るのに1分もかかりません。