抽選販売をやると決めたあと、実際に手が止まるのは「数字をどう決めるか」です。応募期間は何日か、当選者は何名か、支払期限は何時間か。ここを外すと、応募が集まらない、あるいは当選したのに支払われず在庫が残る、という形で跳ね返ります。この記事では、それぞれの決め方と、決めたあとに起きることを整理します。
応募期間の決め方
応募期間は「告知が行き渡る時間」で決めます。短すぎると、告知を見た人しか応募できず、抽選にした意味が薄れます。長すぎると熱が冷めます。
| 状況 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 固定客が中心・告知チャネルが強い | 3〜5日 | メールとSNSが一巡すれば十分に届く |
| 新規の認知も取りたい | 7〜10日 | 拡散と再告知に2回の週末を挟める |
| コラボなど話題性が高い | 2〜3日 | 短くても届く。長いと転売目的の応募を集める時間を与える |
締切の時刻は、問い合わせに対応できる時間帯に置いてください。深夜締切にすると、締切直前のトラブル(応募できない、メールが届かない)に誰も気づけません。
当選者数と在庫の関係
当選者数は在庫数と同じにしてはいけません。当選しても支払わない人が必ず出るためです。実務上は次の2通りの設計があります。
- 当選者数=在庫数にして、未払い分を繰り上げで埋める(推奨)
- 当選者数を在庫数より多くして、先に支払った順に確定させる(早い者勝ちが戻るので推奨しない)
前者を選び、繰り上げを自動化するのが安全です。未払い率は商品単価と告知の質で変わりますが、初回は 1〜2 割を見込んで、繰り上げ後にもう一度支払期限が回るだけの日程を確保しておいてください。
在庫が 100 個で当選 100 名、未払い 15 名なら、繰り上げで 15 名を追加で当選させることになります。この 15 名にも支払期限が必要なので、発送予定日から逆算して「支払期限 × 2 回分」の余裕を取ります。
支払期限と繰り上げの設計
支払期限は短いほど在庫の回転が早くなりますが、短すぎると平日に忙しい人が落ちます。48 時間前後が扱いやすく、Bonafan の既定値も 48 時間です。
- 当選者に請求(当選者限定のチェックアウト)が発行される
- 支払期限の半分を過ぎた時点でリマインドを送る
- 期限を過ぎた当選は失効させる
- 失効した枠を次点へ繰り上げ、同じ支払期限を与える
リマインドを入れるかどうかで未払い率は明確に変わります。手作業で運用する場合でも、期限の中間地点で一斉送信するだけの価値はあります。
繰り上げの上限も先に決めておいてください。「繰り上げは最大2回まで、それ以降は通常販売に回す」のように区切らないと、発送準備がいつまでも始められません。
当たりやすさをどう配分するか
完全にランダムにするか、購入実績で重み付けするかは、抽選販売でいちばん思想が出る部分です。判断材料は次のとおりです。
| 配分 | 向く場面 | 副作用 |
|---|---|---|
| 完全ランダム | 新商品で顧客基盤がまだ薄い | 転売目的の応募も同じ確率で当たる |
| 実績で重み付け | 固定客がいて、その人たちに届けたい | 新規のお客さまが当たりにくくなる |
| 重み付け+新規枠 | 両方を satisfy したい(推奨) | 設定項目が増える |
3 番目は、当選枠を「純粋な抽選枠」と「実績で重み付けした枠」に分ける設計です。Bonafan の既定値では、実績スコア 20 の顧客は実績 0 の顧客の約 5 倍当たりやすくなります。倍率を上げすぎると新規が事実上ゼロになるため、5 倍前後から始めて様子を見るのが無難です。
重み付けを使うなら、何が実績としてカウントされるのかを応募ページに書いてください。書かないと「常連が優遇されている」という印象だけが残ります。書けば、次回に向けた行動(このストアで定価で買う)につながります。
重複応募と本人確認
同一人物の複数応募をどこまで許すかは、先に決めて明記します。実務上は「1人1応募」にして、次の単位で同一人物を判定します。
- ストアの顧客アカウント(ログイン済みならこれが最も確実)
- メールアドレス(大文字小文字を揃え、+タグやドット違いを同一視する)
- 同じ配送先住所(判定はできるが、家族での応募を巻き込むので運用注意)
メールアドレスは、fan+1@example.com と fan@example.com のような別名を同じ人として扱わないと、いくらでも応募を増やせます。Gmail 系はドットの有無も同一なので、判定時にそろえてください。
告知と落選連絡
落選者に何も送らないのは避けてください。結果が分からない状態が続くと、問い合わせが増え、次回の応募も減ります。とはいえ落選メールは通数が多く、コストにもなります。現実的な選択肢は次の3つです。
- 応募確認メールに結果確認ページのリンクを同梱し、結果は各自で見に来てもらう(送信数が増えない)
- 抽選後、落選者だけを顧客セグメントで抽出して一斉送信する(Shopify Email を使えば費用を抑えられる)
- 全員に個別メールを送る(最も丁寧だが、通数がそのままコストになる)
いずれの場合も、結果を出す日時を応募ページに明記しておくと、問い合わせが大きく減ります。
初回のチェックリスト
- 応募期間(開始・締切の日時。締切は日中に置く)
- 当選者数(在庫数と同数。繰り上げ前提)
- 支払期限(48時間前後。リマインドの有無)
- 繰り上げの回数の上限と、打ち切り後の在庫の扱い
- 当たりやすさの配分(完全ランダム / 重み付け / 新規枠)と、その説明文
- 同一人物の判定単位と、重複時の扱い
- 結果の発表日時と、落選者への連絡方法
- 発送予定日(支払期限 × 繰り上げ回数 から逆算して矛盾がないか)
初回は当選1名のテスト抽選を通してから本番に臨んでください。請求メールが届くか、当選者限定のチェックアウトが通るか、この2点は必ず自分の目で確認する価値があります。
- Shopify で抽選販売をする方法 — 手作業運用と抽選アプリの比較
- EC の転売対策の手段比較 — 抽選以外の選択肢も含めて
- Bonafan の使い方ガイド — 設定項目の意味と上限
ここで決めた数字は、Bonafan なら抽選の作成画面でそのまま設定できます。支払期限のリマインドと繰り上げは自動で回ります。